AIで始める資料作成効率化:ChatGPTを使った情報整理と構成案作成のステップバイステップガイド
はじめに:AIで資料作成をもっとスムーズに
日々の業務で資料作成に多くの時間を費やしていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。特に、膨大な情報の中から必要なものを見つけ出し、それを論理的な構成に落とし込む作業は、時間も労力もかかります。
「AIツール実践チュートリアル」をご覧の皆様の中には、「業務効率化のためにAIを使いたいけれど、どう始めたら良いか分からない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。この記事では、AIツール初心者の方でも安心して取り組めるよう、ChatGPTを活用した資料作成の効率化に焦点を当てて、具体的な手順をステップバイステップで解説いたします。
ChatGPTを上手に使うことで、資料作成で特に時間のかかる「情報整理」と「構成案の作成」を効率化できます。これにより、資料作成のプロセスがスムーズになり、より本質的な内容の検討に集中できるようになります。
ChatGPTが資料作成で役立つ2つのポイント
ChatGPTは、資料作成のさまざまな段階で私たちをサポートしてくれますが、特に以下の2つのポイントでその力を発揮します。
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1. 情報整理の効率化
- 大量のテキストデータ(会議の議事録、調査レポート、社内文書など)を要約したり、特定の情報を抽出したりする作業をChatGPTに任せることができます。
- これにより、手作業では時間がかかっていた情報収集や整理の時間を大幅に短縮し、重要な情報の見落としを防ぐことにもつながります。
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2. 構成案作成のサポート
- 資料のテーマや目的に応じて、どのような項目をどのような順番で並べるべきか、ChatGPTに構成案を提案させることができます。
- 複数の視点からの構成案を比較検討することで、より効果的な資料の骨子を効率良く作り上げることが可能になります。
これらの機能を活用することで、資料作成の負担を軽減し、質の高い資料をより迅速に作成できるようになります。
ChatGPTで情報整理をする具体的な手順
それでは、実際にChatGPTを使って情報を整理する手順を見ていきましょう。
ステップ1:整理したい情報を準備する
まず、ChatGPTに入力する情報を用意します。これは、コピー&ペーストできるテキストデータであれば何でも構いません。
例えば、以下のような情報が考えられます。
- 会議の議事録
- Webサイトからコピーした調査データ
- 社内報告書や企画書の下書き
ステップ2:ChatGPTに指示(プロンプト)を出す
次に、ChatGPTに対して、どのような情報を整理したいのか、具体的に指示を出します。この指示のことを「プロンプト」と呼びます。
プロンプトの例:
例えば、議事録から「次の会議までに誰が何をすべきか(TODOリスト)」を抽出したい場合、以下のように指示をします。
以下の議事録から、次回の会議までに完了すべきTODOとその担当者を箇条書きで抽出してください。
【議事録】
日時:2024年5月10日 10:00-11:00
場所:会議室A
出席者:佐藤、田中、鈴木
議題:新商品Aのプロモーション戦略について
* 佐藤:市場調査の結果、ターゲット層は20代後半の女性が効果的だと判明。
* 田中:プロモーション期間は6月1日~6月30日を予定。SNSでの告知を強化したい。
* 鈴木:SNSでの告知内容の草案を5月15日までに作成し、佐藤に共有する。
* 佐藤:インフルエンサー候補のリストアップを5月20日までに完了させる。
* 田中:広告予算の見直しを行い、5月22日までに財務部に提出する。
* その他、新商品のデザイン調整について議論...
ChatGPTの応答例:
次回の会議までに完了すべきTODOとその担当者は以下の通りです。
- 鈴木:SNSでの告知内容の草案を5月15日までに作成し、佐藤に共有する。
- 佐藤:インフルエンサー候補のリストアップを5月20日までに完了させる。
- 田中:広告予算の見直しを行い、5月22日までに財務部に提出する。
このように、ChatGPTは指示に基づいて必要な情報を的確に抽出してくれます。
ChatGPTで構成案を作成する具体的な手順
次に、資料の構成案をChatGPTに作成してもらう手順です。
ステップ1:資料の目的とターゲットを明確にする
構成案作成の前に、以下の点を明確にしておくと、より質の高い構成案を得られます。
- 何の資料か: 例:新規事業の企画書、社内研修資料、顧客への提案書
- 誰に読ませたいか(ターゲット): 例:経営層、新入社員、既存顧客
- 何を伝えたいか(目的): 例:承認を得たい、知識を習得させたい、契約を獲得したい
ステップ2:ChatGPTに指示(プロンプト)を出す
資料の目的とターゲットをChatGPTに伝え、構成案の提案を依頼します。
プロンプトの例:
「新入社員向けのAIツールの基礎研修資料」の構成案を作成したい場合、以下のように指示をします。
新入社員向けの「AIツールの基礎研修資料」の構成案を作成してください。
研修の目的は、AIツールの基本的な概念を理解し、業務への活用イメージを持ってもらうことです。
導入、基礎知識、主なAIツール紹介、活用例、まとめ、という流れで、具体的な項目を箇条書きで提案してください。
ChatGPTの応答例:
新入社員向けの「AIツールの基礎研修資料」構成案をご提案します。
### はじめに
- 研修の目的と本資料の概要
- なぜ今、AIツールが注目されているのか?
### AIツールの基礎知識
- AIとは何か?(簡単な定義と歴史)
- 機械学習とディープラーニングの基本
- AIの種類とできること(例:画像認識、自然言語処理)
### 主なAIツール紹介
- ChatGPT(文章生成AI):概要とできること
- Midjourney/Stable Diffusion(画像生成AI):概要とできること
- その他、業務に役立つAIツール例(RPAツールなど)
### AIツールの活用事例
- 議事録作成の効率化
- メール作成補助
- データ分析のサポート
- 資料作成における情報収集と整理
### まとめと今後のステップ
- 研修内容の振り返り
- AI活用における注意点(情報倫理、プライバシー保護)
- まずは使ってみよう!次のアクションの提案
- 質疑応答
このように、詳細な構成案を瞬時に作成してくれます。必要であれば、「この構成案にさらに〇〇の要素を追加してください」といった形で、追加入力をすることも可能です。
【実践例】ChatGPTを使った資料作成ワークフロー
情報整理と構成案作成を組み合わせた、資料作成の一連の流れをご紹介します。
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ステップ1:元データの準備
- 資料作成に必要なテキストデータ(会議の議事録、Web記事、過去の報告書など)を準備します。
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ステップ2:情報整理と要約
- 準備したデータをChatGPTに入力し、「〇〇に関するポイントを3つにまとめてください」や「〇〇について、ポジティブな意見とネガティブな意見を抽出してください」といった指示を出して、情報を整理・要約します。
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ステップ3:構成案の作成
- 整理された情報と資料の目的・ターゲットに基づいて、「〇〇というテーマで、△△な読者向けの資料構成案を作成してください」と指示し、資料の骨子を作成します。
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ステップ4:肉付けと調整
- ChatGPTが作成した構成案と整理された情報を参考に、具体的な内容を肉付けしていきます。AIはあくまで補助ツールですので、最終的な表現の調整や、人間ならではの視点からの加筆修正は、ご自身で行うことが重要です。
このワークフローを取り入れることで、資料作成の初期段階でかかる時間を大幅に短縮し、より質の高い資料作成に集中できるようになります。
活用を深めるためのヒント
ChatGPTの活用は、慣れるほどにその効果が高まります。
- 具体的なプロンプトの工夫: 指示は具体的であればあるほど、ChatGPTは意図を正確に理解し、望ましい結果を返してくれます。「〇〇の観点で」「箇条書きで」「3つにまとめて」のように、条件を細かく指定することを意識してみてください。
- 情報の正確性の確認: ChatGPTが生成する情報は非常に有用ですが、常に正確であるとは限りません。特に、数字や固有名詞、専門的な内容については、必ずご自身で確認し、必要に応じて修正してください。
- 試行錯誤の重要性: 一度で完璧な答えが得られなくても、プロンプトを少し変えて何度も試してみることが大切です。AIとの対話を通じて、より良い結果を引き出すコツを掴んでいくことができます。
まとめ
この記事では、AIツール初心者の方に向けて、ChatGPTを活用した資料作成における情報整理と構成案作成の具体的なステップをご紹介しました。
AIツールは決して難しいものではなく、日々の業務を効率化するための強力なパートナーとなり得ます。ChatGPTを上手に活用することで、これまで多くの時間を費やしてきた資料作成のプロセスを大幅に短縮し、より創造的で価値のある業務に集中できるようになるはずです。
まずは、この記事で紹介した簡単な手順から、ご自身の業務でChatGPTを試してみてはいかがでしょうか。一歩ずつAI活用を進めることで、業務の可能性が大きく広がっていくことでしょう。